「雨の匂い」
熱せられたアスファルトに黒い大きなシミが広がり轟く雷とともに湯気のごとく包み込む夕立撥ね返るシブキに埃が抑えられていく
乾いた喉に流し込まれる清らかな水のように安堵の溜息を漏らし雨の匂いをまとってみれば無邪気に走り回る子供の頃の私が雨に煙る向こうに見える
焼けた肌に麦藁帽子雷雨に急かされ坂道を駆け下りたあれは何時のことだったろうか
寒さは 人を恋しくさせ 暑さは 昔を恋しくさせる
*詩=紅 龍さん。写真=紅 龍さん。